好きなものを胸を張って「好き」といえますか?おすすめの本
水を縫う/寺地はるな
家族からおすすめされて読んだ本です。
裁縫と料理が得意、趣味は刺繍の高校生男子の清澄(きよすみ)。
中学生のときに「女の子になりたいの?」などと言われて友だちができなかった過去があります。
清澄はそれでも、自分のやりたいことを曲げたくない。まっすぐな性格です。
清澄を取り巻く人々の物語が、それぞれの目線から紡がれます。
清澄の姉、水青(みお)の話は、もはや私ではないかと思うぐらい私でした。
幼少期にあんな怖い体験はしていないけれど…
黒やグレーの洋服が多いとか、堅実さとかもほぼ同じ。
フリルやリボン、「女の子らしい、かわいらしいもの」に拒否反応が出てしまう。
「かわいい」=男受け、ならそんなものには触れたくもない、かわいいなんて言われたくない。
でも水青も気づくように、「かわいい」の定義は、人それぞれ違って当たり前。
水青にとっての「かわいい」は、イコール「すき」でした。
「かわいい」それ自体を怖がったり、拒否したりする必要はなかったのです。
特に好きだったのは、清澄の祖母の話『プールサイドの犬』。
何歳になっても好きなことを始めていいし、それを馬鹿にしたり止めたりする権利なんて誰にもない。
逆に、誰かの可能性を狭めてしまう言動を、知らず知らずのうちに私もしていないか?身につまされる話でもありました。
自分の好きなことしていいんだよ、と背中を押してもらえるような本です。
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